デジタル技術と伝統が交錯するシュールな法要劇――短編『阿畑家の人びと』が描く近未来の家族像
noteにて公開された、みなと氏による短編作品『阿畑家の人びと』。デジタル技術が日常の隅々にまで浸透した近未来(?)の法要を描いた、ユーモアと風刺が光る一作です。
物語は、親族が集まる寺の法要会場で、長男タツオが「高出力ルーター」を要求する怒号から始まります。祭壇にはスポーツバイク・スーパーチャージャー仕様の「ホログラム精霊馬」が鎮座し、爆音の読経リミックスが流れる中、デジタル化された「ジイさん」のデータ復元が難航。解像度不足でモザイク状になったジイさんの姿や、ネットワークトラブルに翻弄される親族の姿がコミカルに描かれます。

最大の見どころは、ようやくログインに成功したジイさんが、なぜか生前お気に入りだった野良猫のアバター姿で現れるという展開。テクノロジーがどんなに進化しても、人間の不器用さや家族のドタバタは変わらない……そんな情景を鮮やかに切り取っています。自作キーボードやガジェットを愛する読者にとっても、デジタルデバイスが織りなす「新しい伝統の形」として興味深く読めるコラム的な作品です。